経理物語16~18
第16話 社会保険・労働保険 7月号 平成18年7月1日作成
法人の届出も滞りなく済ませ、一気に社会保険の手続きもするようです。さて、最近の労働法などの関連法は改正する方向で、企業に対し負担増とするようです。さらにパート社員でも厚生年金や健康保険にできるだけ加入させるように条件を見直すように検討されています。
借方 一郎 ウチで働いてくれている番頭二郎君を正社員にしようと思ってるねんけど正社員にする以上、社会保険はキチンとしてあげたいんや。
記帳 花子 社会保険に限らず、労働保険も早急にしてあげやな。
借方 一郎 そやな、まず社会保険は、どこで手続きしたらいいの?
帳簿 太郎 借方君とこは、政府が保険者となる「政府管掌健康保険」やから社会保険務所でええよ。
借方 一郎 厚生年金保険料、健康保険料、介護保険料は会社と社員の折半って聞いたけど、具体的に毎月会社としていくら位支払うの?
帳簿 太郎 給与に保険料率を乗じて計算するねんけど「政府管掌健康保険」の場合の健康保険料率は1000分の82やな。厚生年金は被保険者の種類によって異なる保険料率やねんけど一般の社員の人は適用期間が平成17年 9月分~平成18年8月分で1000分の142.88やで。
借方 一郎 給与ってウチは残業もあるから毎月変動するけど、毎月計算するん?
帳簿 太郎 いやいや、入社時は従業員の給与月額(通勤手当や見込残業手当てを含む)に基づいて標準報酬月額を決定して、それに保険料率を乗じた額やで。その後は、毎年4月、5月、6月の3カ月間に支払った給与平均額に基づいて、その年の9月分からの標準報酬月額を決定して、その後1年間の保険料が算出されちゅーわけや。
借方 一郎 何でも、ややこしいな。
記帳 花子 例えば健康保険でいうと、番頭二郎くんの標準報酬月額が30万円やったとしたら24,600円について会社と社員の折半で、厚生年金やったら42,864円について会社と社員の折半ということ。
帳簿 太郎 ただし40歳以上の人は介護保険の対象になるから、注意せなアカンで。
借方 一郎 結構な額やな!やめとくわ!
繰越 宗男 どないやねん!
借方 一郎 あと労働保険(雇用保険・労災保険)もあるんやろ。
帳簿 太郎 そうや。労災保険料は全額会社負担で、雇用保険料は会社と社員の負担やで。
借方 一郎 ほんでそれはなんぼ位、会社が払うの?
帳簿 太郎 雇用保険から言うと、借方くんとこは業種は一般やから、給与額の1000分の19.5 を乗じた額で、このうち事業主が1000分の11.5を
負担することになる。労働保険は、給与額の1000分の4.5を乗じた額で全額、事業主が全額負担するねんで。
借方 一郎 30万円位の給与の人を雇用したら、会社負担が全部でザックリと、毎月40,000円の負担か。良い人材を確保するためには、この位は当然やで。社員の幸せと会社の 発展を!
繰越 宗男 どっかで聞いたセリフやな。
記帳 花子 あと労働保険の手続きは労働基準局やからねー。
借方 一郎 ありがとう。早速明日にでも手続きしようと思う。
第17話 接待交際費 8月号 平成17年8月1日作成
会社の売上げを伸ばすためには日々の営業努力が大事ですが、これに伴い取引先や関係者への接待・交際が増えてきます。借方君の会社でも接待交際費がかさんできました。
借方 一郎 最近の法人税改正で交際費も変わったって聞いたけど・・・
帳簿 太郎 そうやで。平成18年4月1日以降に開始する事業年度から適用やから借方君のとこは注意してや。
借方 一郎 何がどう変わったん?
帳簿 太郎 損金不算入となる交際費等の範囲から一人当たり5,000円以下の飲食費が除外されるんやで。
借方 一郎 意味分からん?
帳簿 太郎 まず、会社で経費にすることと、税務上で経費(損金算入)にできることを分けて考えやな混同するで。
借方 一郎 交際費は、会社の経費と税務上での経費(損金算入)の計算が違うちゅうことか?
帳簿 太郎 そうやで。交際費の損金算入限度額は1億円以下の会社は交際費の額と400万円定額控除額のいずれか少ない金額の90%相当額なんやで。
借方 一郎 10%だけ損金算入できひんのか。ほんで、改正で何がどう変わったん?
記帳 花子 そやから・・・1人当たり5000円以下の飲食等は全額税務上の経費にできるようになったちゅーことやん。
帳簿 太郎 その代わりに飲食等の支払いの領収書・請求書等とは別に資料を会社内部できちんと保存しておく必要があるで。
借方 一郎 別って他に何を保存するん?
帳簿 太郎 (1)飲食等のあった日
(2)飲食等に参加した得意先や仕入先、その他事業に関係のある者等の氏名または名称およびその関係
(3)飲食等に参加した人数
(4)費用の金額と飲食店・料理店等の名称および所在地
借方 一郎 面倒やけどキチント記録するで。
帳簿 太郎 ウチの会社も注意しよう~と。
第18話 未払金・未払費用 9月号 平成18年9月1日
経理をしていく上で勘定科目正確に覚えることも大切ですが、その勘定科目をどのように仕訳し正確で分かりやすい試算表を作成できるかは、更に重要です。今月からは仕訳について出来るだけ細かくしていこうと思います。
借方一郎 クレジットカード払いを仕訳するにあたって質問が
ちょっとあんねんけど?
帳簿太郎 どうしたん?
借方一郎 今まで、請求書が到着してから科目/銀行の仕訳してんねんけどこれやったら、カードの明細がきて、金額見てびっくりすること
があるんやー カードの支払いが今いくらあるんか?
なんぼお金を通帳に残しといたらいいんか分かれへんねん。
別に記録するのも面倒くさいし、買掛でも違うし・・・・何かいい方法ある?
帳簿太郎 そんなんしてたら近い将来、資金繰りで苦労するで。
記帳花子 それは、チョー簡単やん。
例えば9月5日にカード決済で消耗品(5万円)を買ったとして、ほんでカードの支払いが10月30日という設定で説明したら9月5日に 消耗品/未払金 50,000円 で仕訳して10月30日に通帳を見て 未払金/銀行 50,000円でOKやん
借方一郎 未払金か? 未払金の科目見たら分かるちゅーことか。
帳簿太郎 ほんでカードの種類が増えたり給与の未払、外注費の未払とかは補助科目(枝番)を付けて処理したら分かりやすいで。
繰越宗男 未払費用っていうのもあるけど、それとどう違うのん?
帳簿太郎 未払金は通常の仕入以外の取引で未払債務を計上する科目のこと
帳簿太郎 未払費用は地代家賃イメージしたら分かりやすいな。一定の契約に従って、継続して役務の提供を受け、すでに提供された役務に対して、まだその対価の支払が終わってないものということやな。 未払金は、継続した役務の提供を受けずに特定の契約等により既に確定している債務のうち、未だその支払が終ってないものやで。
記帳花子 具体的には、その契約に従った役務の提供が完了していれば未払金となって、未完了やったら未払費用と言うたほうがいいかな。
地代家賃は継続してるから未完了と言えるもんね
借方一郎 なるほど。家賃とかの継続的なサービスを受ける費用が未払になってる場合は、未払費用ちゅーことか。
記帳花子 そうやね。
借方一郎 ほかに、分かりやすい例えないか?
帳簿太郎 そうやな例えば、給料を考えてみると毎月20日締めの翌月5日払の会社やと当月21日~末日までの給料は未払費用となり、前月21日~当月20日までの給料は未払金になる
借方一郎 給料でもいつの分かによって未払費用と未払金の科目が違うんか
帳簿太郎 月末時点で考えると、契約上、前月(毎月)21日~当月(翌)20日までの分は役務の提供が完了していると考えられるので、月末における翌月5日に支払う給料は未払金、当月21日~末日までの給料は、当該契約から判断して、役務の提供がすべて完了していないので未払費用を使うんや
借方一郎 使い分け難しいな~
記帳花子 厳密に言えばそうやけど、実務では正確に未払費用や未払金を正確に使い分けずに、どちらかで処理しているところも多いんとちゃうかな・・・