経理物語7~9
第7話 資産購入 (10月号) 平成17年10月1日作成
減価償却って経理を少しかじった人でも、なかなか難しいですね。
借方一郎も避けては通れない減価償却に触れるときがきました。
借方一郎 この頃、車の調子が悪るーて新車に買換えよと思てんねんけど。
車なんかも一括で経費におとしていいの?
記帳花子 高額なものを買った場合は一気に経費には落ちひん場合があるよ。
借方一郎 高額っていくら位なん?
帳簿太郎 1つの基準は10万や
借方一郎 そうなん。
帳簿太郎 他にいろんな基準もあるけど
ぼちぼちとその都度説明したほうがええやろ。
借方一郎 ほんで、一気に経費に落ちひんねんやったらどう処理したらええの?
帳簿太郎 固定資産として資産(財産)に計上する。
借方一郎 ???
帳簿太郎 たとえば100万の車を現金で購入したとしたら
(仕訳)車両運搬具100万 現金 100万
こんな処理でええんや、ただ税金や保険などほかの費用の分は仕訳科目が違うで。
借方一郎 なるほど。
帳簿太郎 ほんで決算で 毎年減価償却をするんやで。
(仕訳)減価償却費 149400円 車両運搬具 149400円
資産で車両運搬具100万あるけど、決算で149400円減るから
1年目の資産(車両運搬具)は850600円となる
借方一郎 減価償却費って解ったようでよう解らん。
帳簿太郎 経費を分散さすっちゅうことかな
例えば、車なんか1年で消耗するもんちゃうやろ
そやから車の乗れる期間(耐用年数・法定で決まった 年数)で少しずつ経費に落としていくんや。
借方一郎 じゃまくさいことささんと、一括で経費にできたらええのにな。
帳簿太郎 計算方法を簡単に言うと、
たとえば普通の乗用車なら6年 これを均等に経費にする(定額法)方法と、
最初の1年目はたくさん経費にして、徐々にすくなくする(定率法)がある。
一郎くんとこは個人事業で、届出もしてへんから定額法でせなあかん
正式な式があるから、また購入したときに教えるわ。
借方一郎 素人にはできんな。
帳簿太郎 ほんで高額なものを買った場合、金額や用途によってちがうからその都度、聞いてや、たとえば20万までは耐用年数に関係なく3年で償却(経費処理)できたり、30万まで少額消耗として経費にできたり(現在期間18年3月まで)といろいろあるから、
利益を考えてどんな処理にするか、検討する必要があるんやで。
第8話 売掛・買掛 (11月号)平成17年11月1日作成
商取引を行う時に便利でよく利用されるのが掛取引です。
反復・継続して取引を行っている場合は、商品等を販売や購入する際にいちいち現金取引をしていると面倒で大変です。
そこで、将来決めた期日に支払いを行う事を合意する取引のことを掛取引と言います。
売掛金とは、商品の代金を将来決めた期日に受け取る権利のことです。
買掛金とは、商品を買って将来決めた期日に代金を支払う義務のことです。
借方一郎 大変や! 売掛の請求したら、「こないだ支払ったやんか」とか「請求額が違う」とか、むちゃくちゃで信用ガタ落ちやで。
記帳花子 おいおい。売掛は会社にとって極めて重要な事やん。
借方一郎 繰越君とこみたいに、販売してその場で現金回収してるとこはええけど、借方君とこは、売掛処理はきちんと整理しとかんと、「もらいすぎや、もらうの忘れてた」ってことになりかねんな。気が付いてないだけで、もらい忘れで損してる会社は多いで!
繰越宗男 頑張って営業しても、経理がズサンやったら最悪やで。
借方一郎 皆で責めるなよ。
記帳花子 私のところは、売掛けの補助元帳で管理して残高はきちっと把握してるから、請求書発行するときにチェックすると、間違えに気付くよ。
帳簿太郎 まあ、請求書を発行するのに、最近は販売ソフトなどで作っているから大丈夫と思ってる人が多いけど、その販売ソフトの入力が間違ったりすると、請求額がおかしくなってくる。
繰越宗男 俺は 頭がええから全部覚えてるし大丈夫やけど。
借方一郎 ウソつけ!
帳簿太郎 まあまあ、頭で覚えてるのはいいけど、やっぱり花子さんみたいに補助元帳で管理するのが一番いいで、特に得意先が増えてくると残高を把握するのに苦労してる会社が多いからな~
借方一郎 補助元帳って?
帳簿太郎 そやなー、得意先別に売掛けを管理するための元帳のことやん。
借方君ところは会計ソフト使ってるから、補助元帳も作れるから、わざわざ手書きすることも要らんし、計算も楽やん。
借方一郎 そんなことも出来たん、知らんかった。
帳簿太郎 仕入の支払い(買掛金)なんかも補助元帳で管理すると、支払いが重複したとき、気付きやすくて、損せえへんで~
記帳花子 私のとこの会社は取引先と半期に1回程度は売掛金残高の確認をしてるよ。それだけ重要なことやねん。ヘタすると儲かってんのに(黒字)倒産するとこもあんねんで。
帳簿太郎 売掛金はたいてい金額も大きいし、その回収を含めた管理が会社の損益や資金計画に大きく影響するで。それだけ大事やねん。
借方一郎 なるほどな、大いに反省して今後は補助元帳で管理することにする。
第9話 年末調整 (12月号) 平成17年12月1日作成
年末調整とは年間の給料から年間に納めなければならない税額(年税額)を計算して、一年間に支払った税額との差額を、税務署の代わりに会社が徴収又は還付したりすることです。
繰越宗男 師走でんなー
記帳花子 最近、師走って言葉はあんまり聞かんようになってきたな。
ところで師走って、「忙しくて先生も走る」って言ういわれかな?
繰越宗男 お経をあげる為に師僧が走り回るほど忙しいからってワシは聞いたけどな。
借方一郎 どっちでもいい、とにかく忙しいんやろ。
記帳花子 あ~また忙しい年末調整の時期になった。憂鬱や・・・・・・
借方一郎 そういや、俺のところも税務署から何か書類が着とったな・・
記帳花子 従業員が一人でもいてたら年末調整と関係あるで。
一郎君とこは、良子ちゃんが専従者となって給料払ってるから年末調整をせなアカンやん。
借方一郎 サラリーマンの時は毎年、生命保険の控除証明渡すだけで会社がやってくれてたもんな・・・
ほんなら生命保険の控除証明の紙を探すように言うとかなアカンな。
繰越宗男 アホ! それだけの問題ちゃうやろ。良子ちゃん、一郎のとこに来る前どっかで働いてたんと・・・・・ちゃうん!
帳簿太郎 良子ちゃんが専従者となる前の給料がいくらか分かる源泉徴収票と生命保険や損害保険などの控除証明や、国民年金、国民健康保険など支払った証明書等が必要やな。
借方一郎 源泉徴収表ってどこでくれるん?
帳簿太郎 前の会社を辞める時にもらってるか、年末に送られてくる会社もあるし、連絡しなかったら送ってこない会社もあるから、調べたほうがいいな。
記帳花子 私の会社は人数が多くて、年末調整のための資料集めに時間かかるから、11月に税務署から用紙が送られてきたらすぐに、従業員に資料集めの説明するんやけど、やっぱり前に働いてた時の源泉徴収票が無いとか、もらいにくいとかで集めるのが大変や
帳簿太郎 そうやな、やっぱり貰いにくいかな、大きい会社なんかは年末になってからしか源泉徴収票もらえないなんてこともあるし、奥さんの(扶養になってる奥さん)パートの給料がやっぱり年末でないと分からんってことで年末調整が正確にできないときがあるんやけど、そんな時は取り敢えず、今ある資料で年末調整して、後の確定申告で年末調整の代わりに正しい税額の計算をして納める 方法もあるで!
記帳花子 なるほど!そういう手があるんか。
でも、従業員にとっては、年末調整で税額計算して終わりってのが楽でいいよね。
借方一郎 ところで、俺の分はどうしたらいいの?
記帳花子 一郎君は控除証明等の書類を確定申告で使うから、それまで大事に保管しといて。
帳簿太郎 それと、良子ちゃんの分でも確定申告でしか控除できひんものもあるからな。例えば、医療費控除、雑損控除、住宅取得控除とかはな。
借方一郎 なるほど!
記帳花子 ほんで2,000万円を超える給料をもらってたり、2ヶ所以上の会社などから給料をもらってたら、年末調整の対象と違って確定申告をせなアカンねんで。
借方一郎 しかし、税法ってもっとシンプルに分かり易くできんもんかな・・・
帳簿太郎 ほんまやな、ただ国はお節介で「あんたはこうしたら税金がやすくなりまっせ」とかは絶対言うてくれへんから、何事も自分で調べて対処せんと損をするようになってるんやから、「邪魔くさい」ではアカンねんで!
借方一郎 よっしゃー早く会社を大きくして、専門家を雇うで!
帳簿太郎 そうくるか!